【省エネルギー診断】受診者インタビュー Vol.2

「保育園の子ども達には全員『心豊かで素敵な』大人になってほしい」―そう話すのは、町田南保育園の井上利恵子園長。子どもたちにとってもより良い環境を残すため、エネルギー問題への取り組みとして、ゼロエミッションの推進をしたいという。

 主な事業内容を教えてください。

 町田南保育園は、「子どもたちに最善の環境を」を理念として、創立時の理事長が今から49年前に設立した認可保育園です。東京都町田市には、公立保育園が5園、認可保育園が約70園程あります。当園が位置する町田市南地区には「南町田グランベリーパーク」があり、都市の再開発が盛んに進められており若い世代が多いので保育園の需要も非常に高く、多くのご家庭にご利用いただいております。









 ゼロエミッションに取組むきっかけを教えてください。

 きっかけは太陽光パネルの設置を検討したことです。東京都の助成金を利用すれば、当初予定していたものよりもさらに大きなパネルが設置できるかもしれないと聞きました。そこで、助成金についてより詳細を調べたところ、「クール・ネット東京」が実施している省エネルギー診断の受診が申請の条件であると分かり、その過程で「ゼロエミッション」の存在を知りました。先代の理事長の教えを引き継ぎ、「20年先を見据えた保育」を心がけている我々としては、子どもたちの未来により良い環境を残したいとの思いもあり、ゼロエミッションにも取り組むべきだと考えました。

 なぜ太陽光パネルを設置しようと思ったのですか?

 理念に通じるところがありますが、子どもを取り巻く環境すべてをより良いものにするために、日常的に使う電気もクリーンエネルギーを使いたいという理想がありました。普段お付き合いのある業者さんから「屋上が太陽光パネルの設置に適している」と教えていただいたことも、きっかけでした。加えて、太陽光パネルの設置は地域貢献にもつながるという点が、大きな決め手となりました。保育園の運営には地域の方々の協力が欠かせません。例えば大規模な災害が発生し、インフラが麻痺してしまった場合、遠方勤務の保護者はすぐに駆けつけることができません。そうした事態を想定し、万が一の際に近隣の方々に協力してもらえる関係を築くことが大変重要です。そこで非常時には太陽光パネルで発電した電気を誰でも自由に利用できるよう、外部コンセントも設置しました。この取り組みは災害時の備えとして地域の方々にも大変喜んでいただきました。

屋上に設置された太陽光パネル
非常時には誰でも使える外部コンセント

 診断を実施した効果について教えてください。

 「この診断が無料でいいの?」と感じるくらい、現状の把握や節約するポイントをプロの目線から教えていただきました。数値も対策も具体的にレポートしてくださるので、その後もスムーズに省エネルギー対策を進めることができました。

 まずは各クラスや事務室を含めた空調の設定温度。現在、冬は22度、夏は28度に設定しており、各クラスに掲示することで適切な温度管理を徹底しています。また、省エネ診断報告書の内容をもとに省エネ管理体制も整備しました

 職員間で日々「ここは節約しよう」「この点はしっかり守ろう」といった申し合わせを行い、日常の行動をチェックできる仕組みも導入しています。その結果、室内の温度設定はしっかりと守られるようになり、電気の点灯や消灯に関しても、職員全員が意識的に行動するようになりました

 さまざまな工夫の結果として、電気代が半分以下になった時は本当に驚きました。月に一度開催される園長会で他園の園長と意見交換や情報共有を行っているのですが、その際に「先生のところの電気代はいくらかかっている?」という話題が出て、結果を披露したところ、大変驚かれています。

 事業を利用して良かった点を教えてください。

A 省エネ診断を受け、助成金を活用し太陽光パネルを設置したことで、電気の仕組みや使用方法について、子どもたちと一緒に学ぶ機会を持てたことがとても良かったと思います。園舎の屋上に上がれば太陽光パネルが設置されているので、発電がどのように行われるのか、また太陽光発電では太陽の光がないと電気を作れないことも簡単に伝えられます。また、普段子どもたちが家庭で使っている電気も、どこかで作られた電気が電線を通して家庭に届けられているのだということを学びました。

屋上に設置した太陽光パネルを見学する子どもたち

 その結果、「電気をつけっぱなしにしないことが大切」という意識が自然と子どもたちに浸透し、今では不要な電気がつけっぱなしになっていると子どもたちの方から声がかかるようになりました。年長の子どもたちは、当番制で事務室のスイッチを管理するなど、節約に対する意識がしっかりと浸透しています。

 今後の抱負について教えてください。

 私たちは、常に20年先を見据えた保育を考えています。20年後、現在、保育している子どもたちは社会に出て働き始める年齢になります。その時に、心豊かで素敵な大人になってほしいということが、私たちの願いです。知識や知恵をたくさん蓄えること、特定のことを得意になることなど、「素敵さ」の中身はさまざまだと思いますが、環境に対する意識は全員に共通して重要だと考えています。省エネについては、私たちにとっても子どもたちにとっても一生の課題。エネルギー問題に対して常に意識を高め、未来に繋がる行動をしていきたいです。
 そして引き続き、保育園という場所だからこそ、使用しているエネルギーがクリーンなものだと子どもたちに胸を張って言い、また、地域にも提供していきたいです。

 ゼロエミッション経営を検討している企業へメッセージをお願いします。

 環境問題は、日本だけでなく世界的な課題です。私たちは自分たちの日々の消費行動が子どもたちの未来に与える影響についても、きちんと考えるべきだと思います。彼ら彼女らが大人になった時、豊かに暮らせる世界をつくるためには、環境問題を全員に関わる課題として捉え、しっかりと向き合っていくことが重要です。環境問題はあらゆる分野に関わるものなので、その解決に向けた取り組みは、積極的に行っていきたいです。

社会福祉法人 町田南保育園(https://machidaminami.com/

所在地:〒194-0015 東京都町田市金森東4-36-8

設立:1976年4月1日

 町田南保育園は、常に子どもの立場になって考え、「子どもたちに最善の環境を!」ということを目指しています。そして、子どもたちの生活をより良く築いていけるよう「子どもも大人もひとりひとりが皆主役」「日々の生活・保育を大切に」を大きな土台としています。