【省エネルギー診断】受診者インタビュー Vol.3

株式会社オーティーエスの田中優一郎社長。SDGsという言葉が有名になる以前から同様の取り組みを実施していた。今回の省エネルギー診断ではそういった取り組みが評価されたことが嬉しかったという。

 主な事業内容を教えてください。

 田中社長:当社は創業39年目を迎えるファッション専門の物流サービス企業です。専門物流サービスならではの品質管理とメンテナンスサービスに強みを持っていて、洋服・バッグ・靴・アクセサリー・ジュエリーなど、あらゆるアイテムの品質検査を実施し、問題が発生した場合には修理・補修まで対応可能です。

 日本では、商品自体は当然として、梱包や配送にまで高品質を求める風土があるため、私達も単に保管や発送を行うだけでなく、お客様の商品に対して様々な付加価値を与えるサービスを展開しています。

 アパレルの修理だけでなく、時計やジュエリーの修理も行っており、またEC用の撮影サービスや刺繍サービス等も展開しています。

 加えて、売れ残った商品の販売や買い手とのマッチングを支援する「カイテン倉庫」サービスを展開することで、お客様の在庫負担を軽減し、スムーズな流通を促進することで、ファッション業界全体の効率化に貢献しています。









 ゼロエミッションに取組むきっかけを教えてください。

A 田中社長:当社のような物流のアウトソーサーにとって、お客様に対して発生するコストを最小限に抑えることは重要な課題です。また、東日本大震災時には電気の重要性が再認識され、BCP(事業継続計画)の視点でもエネルギー管理の必要性が高まっています。このような背景から、自然と電気について考える機会が増えました。

お預かりしている商品は高価格帯のものが多く、湿度対策は欠かせないと語る田中社長。

 近年、電気料金の高騰が続いています。当社でお預かりする商品を適切に管理するためには、温度や湿度を安定させることが不可欠です。しかし、地球温暖化による高温多湿の状況は深刻化しており、夏場の湿度は80%以上に達することもあります。このような環境下ではカビの発生リスクが高まります。そのため、24時間の空調稼働や業務用除湿器の導入が不可欠となり、電気使用量は増加の一途をたどっています。電気代の上昇が経営に与えるインパクトも大きく、お客様にもコスト増についてしっかりと説明し、ご相談しながら対応を進めているところです。

 省エネ診断を利用して良かった点を教えてください。

A 迫田さん:専門的なアドバイスをいただくことで、客観的な評価を得ることができ、同時に新たな方法を知ることができた点が最も大きなメリットでした。省エネルギー診断を通じて、さまざまな指摘をいただきましたが、特にありがたかったのは、現在の電気使用量や削減可能な余地を数値的に示していただけた点です。例えば、夏場と冬場の室内温度設定を最適化し、一定の温度に達した後は適切な温度管理を行うことで、さらに省エネが可能であることが分かりました。

 また、当社のこれまでの取り組みについても良い評価をいただき、自信につながりました。特に、電灯の間引きや高効率空調の導入、省エネ設備のリニューアルといった取り組みが評価されたことについては、非常に嬉しく感じました。

「実は10年前にも同様の診断を受けました」そう話すのは管理部の迫田雄二さん。以前から環境に対する意識は高かった。

 現在の取組について教えてください。

 迫田さん:現在取り組んでいる事項は、大きくわけて4点があります。

 1つ目は、電気使用量の把握です。現状の電気使用量をその時の電気料金単価と合わせてリアルタイムで可視化し、必要に応じて節電を要請するアナウンスを行うことで、効率的なエネルギー管理を推進しています。

施設責任者の側に設置されている「SMARTMETER ERIA」には、電気使用量や電気料金単価がリアルタイムで可視化されている。

 2つ目は、空調設備の点検・清掃です。これについては、年に1回業者に依頼して実施していますが、室内機のフィルターに関しては2ヶ月から3ヶ月ごとに自分たちで清掃を行っています。清掃を怠ると効率が低下したり、機器の故障を引き起こしたりすることがあります。そのため、定期的な清掃を行い、設備を良好な状態に保っています。
 3つ目は、待機電力の削減です。使わない機器のコンセントを抜いたり、スイッチを切ったりすることで、無駄な消費を防いでいます。
 そして最後の4つ目は、LED照明導入に向けた検討です。消費電力の低減と環境負荷の軽減を目的に、各施設への導入を進めています。今回、省エネルギー診断を受けた2事業所では、すでにLED化が完了しており、今以上にLED化による電気使用量の削減は難しいかもしれません。しかし、経年劣化したLED照明を随時交換していく等、常に従業員が働きやすい環境を整えることが重要だと認識しています。

 取組んだ対策等の成果について教えてください。

A 金光さん:従業員の意識が向上したことが、何よりの成果だと考えています。今回診断を受けた事業所では、大型ファンを設置して空気の流れを良くし、空調効率を高める工夫が行われていますが、これは従業員から出たアイデアです。従業員が自主的に環境を改善する方法を考え、実践するようになったことは、大変嬉しい事例だと感じています。このような自主的な取り組みが広がることで、より良い職場環境を作り出すことができ、今後もさらに意識を高めていきたいと考えています

HR/PR室長を務める金光広明さん。「SDGsはそれ自体を目的として取り組んでいるわけではなく、自分たちやお客様にとって良いことを行うことが、結果的にSDGsにつながっている」と話す。
効率化のために空調設備に設置された大型ファン。

 取組の中で重要視していることについて教えてください。

A 田中社長:これは当社の経営理念にも通じるところがあるのですが、従業員が喜びを感じることについては特に注力しています。現在、当社では約800人の従業員が日々作業を行っていますが、その作業効率は、労働環境や従業員の気持ち・意識によって大きく変わります。そのため、効率的な運用や手順の改善はもちろん続けていますが、最も大切なのは、従業員が快適に働ける環境作りです。従業員が快適に仕事をできる環境を提供することと施設の省エネを実現すること、この2つを両立することが大変重要だと考えています。これにより、持続可能な経営が可能になると確信しています。

オフィスに飾られている経営理念。そこにはお客様と働く人が喜びを感じられることと社会に貢献し続けることが謳われている。

 今後の目標を教えてください。

A 田中社長:東日本大震災後に当社でBCPを作成した当初から、自分たちで使う電気は自分たちで賄うことを目標にしています。災害時、倉庫は素早い復旧が求められますが、電気がなければ作業が進みません。倉庫内は窓がなく、電気がないと業務に支障をきたしますし、エレベーターも動かなくなるため、震災翌日には階段を使って手作業で荷物を下ろすという大変な状況も経験しました。そのため、電気を自分たちで賄うことが一つの理想です。

 さらに、災害時には近隣の方々に当社で発電した電気を使用してもらう体制を整えることも目指しています。これにより、災害時に地域社会をサポートできると考えています。もちろん、設備面のハードルや電力会社との調整など、越えるべき課題は多いですが、その理想に向かって邁進していきたいです。

 ゼロエミッション経営を検討している企業へメッセージをお願いします。

A 田中社長:LED照明導入や空調設備の更新など、設備投資には一定のコストが伴います。しかし、これらの取り組みは単なる支出ではなく、長期的に見れば効率化やコスト削減につながる重要な投資です。実際に導入を進めると、その効果を実感できる場面が多くあります。省エネ対策を自己満足で終わらせず、客観的な診断を受けることで、その成果を定量的に評価し、さらなる改善点を見出すことが可能となります。持続可能な経営は、社会との共生を促進し、企業価値の向上にも寄与します。ぜひ、省エネルギー診断を活用し、必要な投資を惜しまず、持続可能な未来に向けた経営を推進していただきたいと考えています。

株式会社 オーティーエス(https://www.e-ots.jp/

所在地:〒134-0085 東京都江戸川区南葛西5丁目16番1号

設立:1986年10月1日

 「まだ世の中にないものを届けたい」、「トータルに寄り添えるシステムを構築したい」、そんな想いからOriginal Total Systemの頭文字を取って、オーティーエスという社名に。ファッション・アパレル商品の製造から販売までの工程のうち、「入荷~保管~出荷」などの基本的な物流のサービスだけでなく、アパレル商品の取り扱い表示の選定や撮影、修理など、お客様が求めるサービスを提供することで、“ファッション×物流”のプロフェッショナルを目指しています。