証書・クレジットの活用

電力調達とは別の追加コストを払い、電気の利用実態と切り離して環境価値によるメリットを得ることを問題視する考え方もありますが、直接的に契約を管理できないテナント入居者等での電気の利用に対して活用したり、証書・クレジットの内容に「追加性」を求めることで、再エネ電源が社会的に増えることを意図する考え方もあります。

Jクレジット・グリーン電力証書について

※J-クレジット制度の第10回入札結果に記載の「落札価格の平均値」を元に「J-クレジット制度モニタリング・算定規程(排出削減プロジェクト用)Ver.3.9に記載の「系統電力の排出係数」を乗じて算出

再エネ調達に積極的な企業の中で、「追加性」という考え方が、重要視されています。 再エネ電力や証書・クレジットの購入により、新たな発電設備に対する投資を促す効果を求めることを意味します。

運開し投資回収の終わっていない発電設備などに対して追加性が認められますが、投資回収済みの古い水力発電設備は、そこに投資をしても新たに(追加的に)CO2排出量の削減効果がないとみなされ、追加性に課題を生じます。

 

コラム:非化石証書の制度状況

2020年4月より、①FIT非化石証書(再エネ指定)、②非FIT非化石証書(再エネ指定)、③非FIT非化石証書(指定無し)の3種類となりました。再エネに限らず、原子力や新エネルギー等(廃プラスチック発電など)もゼロエミ価値を含む「非化石電源」となっています。そのため、RE100など再エネ重視の枠組みでの証書活用には注意が必要です。

コラム:情報開示・各種イニシアティブでの活用

※2021年3月26日の「第48回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会」で、需要家の直接購入を認めることについて論点となっている。

情報開示・イニシアティブでの証書活用

国際社会やESGなど投融資分野のニーズの高まりから、エネルギー利用に対する様々な気候変動関連の情報開示やイニシアティブが発足されているが、必ずしもこれらが各証書の趣旨と整合性が取れているとは限らない。例えば多数の企業や自治体が趣旨に賛同している「RE100」では、非化石証書の活用について「トラッキング付き」であることを要件としている。証書が対象とする電源種や、その地域性あるいは追加性といった発行要件と調達目的の整合性を確認していくことが重要となる。下表は主なグローバル情報開示・イニシアティブとの整合性をまとめたもの。

※みずほ情報総研「国際的なイニシアティブと⽇本の気候変動対策に係る国内諸制度」