小売事業者からの調達

電力小売電気事業者と電力の需給契約を締結し、小売事業者の提供する電力メニューを購入する調達方法です。近年はRE100など需要家側からのニーズを受けて、再エネ発電の電気(FIT電気・非FIT電気)や非化石証書等の環境価値を組み合わせた「再エネ」100%のメニューが複数の事業者から出ており、手早く再エネ100%を達成できる手段と言えます。

非化石証書について

※経済産業省「電力の小売営業に関する指針(令和3年4月1日最終改定)」及び、みんな電力「企業価値を高めるトレーサブルな再エネ電力の供給」を元に作成

上図のとおり、再エネ電力メニューには様々な電源と環境価値(証書)の組み合わせが存在します。供給される電気や、それに紐づく証書・クレジットの種類によって、様々な気候変動関連の情報開示スキームやイニシアティブごとに「再エネ利用」や「排出量ゼロ」と認められるか否か、が変わってきます。

2020年4月よりFIT以外の非化石電源(大型水力等)も含め、全非化石電源に由来する環境価値は証書化され取引されています(自家消費する場合を除く)。そのため環境価値は、電気そのものが有する価値と切り離されており、再エネメニューの提供には、電源だけでなく環境価値を組み合わせなければなりません。

これにより、例えば「非再エネ電気(石炭火力など)+環境価値」のメニューでも、制度に従えば「実質再エネ」として排出係数ゼロ&再エネ由来電気の調達となります。これからの電力調達では、需要家である役場側から、調達目的に合った電源種や環境価値の利用方法を、仕様書等で指定することが重要になります。

 

コラム:再エネ100%メニューは高いの?

令和元年度に、環境省は、再エネ調達に積極的な需要家58名に対して電力価格に関するアンケートを実施しました。その結果、「再エネの割合と価格について、明確な相関関係は見られませんでした」と報告されています。

※環境省「公的機関のための再エネ調達実践ガイド」

小売事業者を介した電力調達では、電気そのものの価値(kWh価値)と環境価値が切り分けられ、それぞれ電気と証書という形で調達する必要がありますが、この調査では必ずしもコスト高という結果と結びついていないことが伺えます。