自家消費の例:自営線の設置
自営線とは、一般送配電事業者以外の者が敷設する送電線のことです。発電所と送電網の電力系統点を結ぶために整備されてきましたが、近年は自治体等も主体となり、電力の地産地消や、停電時の電力利用を目的として、地域の電源と需要地を直接結びつけるための利用も注目されています。敷設に多額のコストが掛かるため、自治体関与が重要となります。
【睦沢町】むつざわスマートウェルネスタウンでの自営線活用事例
千葉県睦沢町出資の自治体新電力の「㈱CHIBAむつざわエナジー」は、町内に整備された住宅と道の駅等で構成される「むつざわスマートウェルネスタウン」に太陽光発電、太陽熱及びガスコージェネレーションを導入し、防災拠点である同タウンの防災性向上、低炭素なエネルギー供給及びエネルギーコストの削減などを実施している。また周辺地域から採取される全国でも珍しい国産の天然ガス採取後の地下水を加温し温泉利用する「水溶性天然ガスをムダなく使った“ほぼ”天然温泉」を実現し、地域資源の有効利用・地産地消にも取組んでいる。
令和元年の台風15号による強風の影響で同町を含む大規模停電発生時も、電線(自営線)の地中化(無電柱化)を行っていたため、電線に被害がなく、住宅及び道の駅の重要設備への電気供給をするなど自立したエネルギー供給を実現した。さらに、停電時に周辺住民の方への温水シャワーとトイレを無料提供し、多くの方が利用するなど防災拠点として大きな機能を果たした。
自営線敷設には多額の設置費用や維持管理コストが掛かるため、電源を保有する企業の共同出資や、自治体による公的資金の投入、国の補助金活用などを検討する必要があります。